代表的な産業「BPO」
ドゥテルテ政権下で経済高成長したのには、マルコス政権が失敗した「輸出主導型の工業化」よりもサービス産業に特化した産業の育成、外国投資の誘致を進めたことでは…。
※BPOとは、企業活動における業務プロセスの一部を一括して専門業者に外部委託すること
サービス産業(コールセンター)
具体的な業態としてはコールセンターが多く、フィリピン各地にある。
苦情対応など問い合わせに応じるコールセンターをアウトソーシング(外注)してくる国はアメリカなど英語圏の国が多い。フィリピンに進出しているBPO企業の7割を占めるとされている。
エンターテイナーの影響
50代以上の一般の日本人には、フィリピンといえば「治安が悪い国」という印象を抱く人が多い。
さらに、最盛期年間8万人が日本に来ていたエンターテイナーの影響もあって、とくに日本人には国としてあまりいい印象を与えていなかった。
最近、イメージは「短期留学の国」となっている。
英語留学といえば、本場のアメリカやオーストラリアが多かったが、フィリピンはそれらの国よりも大幅に安く、渡航費別で1カ月15万~20万円ほどで受け入れてくれる寮付きの学校もある。
急激に成長しているサービス業に観光業がある。新型コロナの流行前の2019年にフィリピンを訪れた外国人観光客は政府目標の820万人を上回る826万人を記録、716万人だった2018年と比べて15.24%増になった。
海の環境保全(観光資産)
フィリピン政府は観光業を「持続可能な包括的経済活動」と位置付け、最大の観光資産である海の環境保全に対する意識を高めており、ドゥテルテによる2018年のボラカイ島閉鎖はその一環だった。
成長が予想されていた観光業は、2020年からのコロナ禍で壊滅状態になったが、今後はまた、急成長の軌道に戻ると思われる。観光地を訪れるのは、外国人だったが、近年はフィリピンの中間層が訪れる場所となりつつある。
フィリピンの産業構造の最大の特徴は、国内総生産における産業別シェアで第3次産業(サービス業)が占める割合が圧倒的に高いことだ。
「モノづくり苦手」なフィリピン人
フィリピンにおいては工業重視、とくに自動車産業の育成などに力を入れるべきだとの指摘が以前からある。
フィリピン人は、手先は決して不器用な人たちではないが、「モノづくり」に関しては、日本はもとより、韓国や台湾、ベトナムなどと比べると不向きな印象がある。
日本人に比べれば、はるかに達者な英語を話すことで、外国企業家には歓迎される。国民的性格も陽気で明るく、辛抱強い。しかし、職人気質の人は少ない国だ。
フィリピン人の働きぶりを見ていると、業務の正確さ、時間厳守などに問題があると感じることは多い。フィリピン料理は、その味付けやバラエティにおいて評価が低い。「職人不在」とも関わりがありそうだ。
サービス産業こそがフィリピンの強みを最も発揮できる
IT関係のサービス業も今後のフィリピンでは期待できる業種だろう。IT関係の技術習得には英語力が必要な局面が多いから…。
外国資本のオンライン賭博産業の受け入れも進めた。進出してきたのは中国のオンライン・カジノ業者が圧倒的に多く、7割近くを占めている。バーチャル・カジノと呼ばれる形式で…。
客の代わりにプレーをするのは、客とオンラインで結ばれた多くが中国人女性のプレーヤーで、客は電子マネーやクレジットカードを使って賭け金を払い、勝てば電子マネーや銀行送金などで賞金を受け取る。フィリピン人はディーラー役や通信管理などの裏方で雇われている。