パシグ川の北側にキアポとチャイナタウンという古くからにぎわう一画がある。二つの地区は隣接していて、LRTを境に東がキアポ、西がチャイナタウンになる。キアポ地区はブラックナザレで有名な、キアポ教会を中心とした庶民の街だ。マカティなど新しい街ができる前は、この地域がマニラの中心だったと言う。
キアポ教会
キアポの中心、にぎやかな喧噪の中にある教会。1582年、スペイン人によって建立された。この教会には17世紀にメキシコより持ち込まれたブラック・ナザレ像があるので有名。
黒い木で作られた等身大のキリスト像で、教会の後ろに置かれている。左にあるのが横たわったイエス・キリスト、右が十字架にかけられたイエス・キリストだ。このナザレ像の前で信者は十字を切ってお祈りしていたり、キリストの足に手を当ててお祈りしていたりする。
そのためか、足の部分だけ色が剥がれてきている。奇跡を起こすというこのキリスト像の前にはお祈りをする人が絶えない。
美術・科学博物館
サント・トーマス大学は、フィリピン最古の大学のひとつ。構内の博物館に、考古学、民族学、自然史学、美術に関するさまざまな展示がある。大学構内の中心に位置する象徴的な建物内にある。
博物館を見学したあとは、構内の散策を楽しみながら、通りがかりの学生たちに声をかけ、いろいろ話し合っても楽しいのでは…。
サン・セバスチャン教会
高架鉄道 Line2のレガルダ駅のすぐ近くに建つ、19世紀末に鉄骨を使用して造られた教会です。
当時、鉄骨造りの教会というものはほとんどなく、非常に珍しい。空に向かってそびえ建つ、その堂々とした姿は、実際に訪れて見る価値あります。
マニラ・ゴールデン・モスク
一説にはマニラ周辺に100万人ほどもいるというイスラム教徒の精神的拠り所として、1976年に建てられたのがこのモスク。もともとマニラは、16世紀後半にスペインに占領されるまではイスラム教徒の土地であった。
当時、イスラム勢力の中心人物だったのが、ラジャ・スレイマン で、1571年頃トンド周辺での戦いに敗れ、その後、フィリピンは急速にキリスト教化されていった。
初めイスラム教徒たちは各家々で独自にイスラムの教義を守ろうとしたが、スペインの政策により、子供たちがカトリック教会で教化され、数十年経つうちに多くの人々がカトリックに改宗していったのだという。
マラカニャン宮殿
マラカニャン宮殿といえば、1986年に大勢の市民が押しかけ、マルコス大統領を追い出してしまったというあの宮殿。マラカニャン宮殿は、かつてはスペイン貴族の別荘だった。
それから、スペインやアメリカの統治時代には官邸として使われた経緯があり、現在はフィリピンの大統領官邸になっている。マルコス大統領が追放され、その年の2月に就任したアキノ大統領はこの宮殿を一般公開した。
現在、歴代の大統領の功績や足跡を示した文書、肖像画や写真が展示されている大統領記念博物館のみが見学可能となっている。
中国人墓地
キアポの北、高架鉄道 Line1のアバト・サントス駅 の東側に広がる中国人の墓地群。日本人の常識からはかけ離れたさまざまなスタイルのお墓がある。
フィリピン華人たちの裕福さと豪壮さがかいま見える。午後は団体観光客で込み合うので、午前中に訪れるといいだろう。