フィリピン人の就職難の現況

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フィリピンの失業率

2019年、5.1%で高くはないですが、大卒の失業率は平均18~20%と10年ほど高いままま、失業者230万人のうち、76%が15~34歳、45%が15~24歳であり、若者の失業率が突出している。

大学卒業後、就職できるのは35~40%で、大学での専攻の仕事に就けるのは、10%だと云う。新卒の半数以上が無職と云うことになる。就労者の半数以上がサービス部門で働いており、製造部門の就労者は全体の16%である。

大卒でも、デパートやファーストフード店の店員、銀行の窓口業務など、高卒で間に合う職に就かざるを得ない状況である。アルバイトでも就ければいい方だと云う。有名大学を優秀な成績で卒業しなければ、就職先がない。非正規雇用しかない。

卒業後正社員として企業に就職できるのは、新卒の上位10%である。企業は、平均的な公立大学の卒業生よりも、有名私立高校卒業生の方を雇いたがるという。有名私立校と公立校の卒業生では、質が大きく違うと云う「大学に行く価値はあるのか?」という議論は、フィリピン国内でも行われている。

企業の社員採用

フィリピンでは、企業が社員を採用する際、正社員になる前に半年の試用期間が設けられる。この試用期間を過ぎると、企業は、その社員を正社員として雇用することが義務付けられている。フィリピンでは正社員の解雇が非常に難しいため、半年ごとに”雇い止め”をして再雇用する短期雇用の継続(ENDO)が常習化している。

試用期間中は、法的最低賃金の適用を受けず、福利厚生を提供する必要もなく、企業は低賃金労働を永遠に享受できるからだ。ENDOを禁止する法案が議会を通過したが、拒否権を発動したため、撤廃に至らなかった。

雇用技術教育技能開発庁

フィリピンには、人材の国際競争力強化のための専門教育や認証などを行う国家機関(雇用技術教育技能開発庁)がある。民間企業と連携して、家政婦、船員、各種技術、看護師や介護士などを育成する様々な職業訓練プログラムを提供している。

最低賃金は、マニラで一日1000円ほど、地方では700円ほどだ。フィリピン人が海外で就労及び、海外雇用主がフィリピン人を雇用するには、必ず海外雇用庁を通さねばならない。同庁の海外出張機関が東京にもある。

日本では、80年代に、芸能人(エンタテイナー )枠で、興行ビザを取得してフィリピン人女性が多数訪日した。そのため、日本では「フィリピン女性=水商売」のイメージがある。

海外での求人は、医師よりも看護師の方が多いため、看護学校に入り直して看護免許を取得する医師もおり、医大よりも看護大を選ぶ学生も増えていると云う。

日本語の国家試験に合格しなければならない点が大きなハードルとなっている。EPA下での資格要件は、看護師の場合、フィリピンの看護師資格を所有し、実務経験3年以上、介護士は4年生大学を卒業しフィリピンの介護士認定、または四年生看護大学を卒業が条件である。

給与がもっとも重要

フィリピンのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界就労者の間では、給与がもっとも重要である。エンジニアはキャリア開発の機会、公務員は職の安定を挙げた。

77%が公共部門で働きたいと回答した。職の安定以外に、2016年の法改正によって、民間より低かった給料が大幅に引き上げられ、福利厚生も充実したことが影響している。なお、公務員事務職の初任給は、月2万3000円ほどである。

フィリピンは、コールセンターのアウトソースで世界最大のシェア(16~18%)を誇るが、コールセンターでの仕事も、給料がよいということで人気がある。

フィリピン人が日本で働く理由は、母国よりも何倍ものお金が稼げるからである。フィリピンの大卒初任給は4万円ほどで、月収が2万円に満たない人たちも大勢いるのが現状だ。

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