「パグアサ島」で観光開発計画

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南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島にあり、フィリピンが実効支配するパグアサ(同ティトゥ)島で、観光開発の計画が進んでいる。周辺国との領有権争いの最前線で、近海は中国の軍艦が航行する「火種の島」。実効支配を強固にしたい思惑の裏には、大規模な軍事施設を造る余裕がない懐事情も…。

パグアサ島はフィリピン西部パラワン島の北西約450キロに位置し、行政上はカラヤアン町に属している。ただ、町の実質的な行政機能はパラワン島のプエルトプリンセサにあり、「遠隔統治」しているのが現状だ。

「パグアサ島自体は平和そのもの」。両島を行ったり来たりしているデルムンド町長はこう前置きした上で「周辺海域では中国海軍と海警局が、フィリピン人の行動を監視している」と続けた。

南沙諸島はフィリピンや中国など6カ国・地域の領有権主張が入り乱れ、一帯は軍事衝突の恐れもある。中国は岩礁を埋め立てて軍事拠点化を進めており、きなくささが増している。

デルムンド氏によると、パグアサ島は面積約32ヘクタール。徒歩で1周しても1時間かからない程度という。100人以上いる一般住民の大半は町職員やその家族で、うち子供が約40人。ほかに軍や警察、沿岸警備隊の要員も常駐するが「人数は明かせない」としている。

町所有の船3隻や海軍の艦艇で、パラワン島から2、3日かけて食料や生活用品を運び、住民の暮らしを支える。小学校や診療所、発電所などの施設はあるが、携帯電話の電波は届かず、島民同士の連絡は無線を使う。

透き通った遠浅の海、白い砂浜。手つかずの自然が残る絶海の孤島だが、約25キロ先には中国が3000メートル級の滑走路を整備したスービ礁がある。町幹部のアリンドガン氏は「パグアサ島に向けて船で物資運搬中、両脇と後方を計3隻の中国艦艇に囲まれ、航路変更を要求された」と苦々しげに語った。

フィリピンや中国などが領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島のうち、フィリピンが実効支配するパグアサ(同ティトゥ)島を管轄するカラヤアン町が、島周辺の砂州と礁に命名したことが17日、分かった。領有権主張を強める狙いだが、中国の反発を招く可能性がある。

 フィリピン、パグアサ島、南シナ海・南沙諸島

デルムンド町長が14日に署名した条例によると、対象はパグアサ島の沖合12カイリ(約22キロ)内外にある四つの砂州と二つの礁。「パグアサ砂州」「パグアサ礁」とし、番号を振って区別する。砂州は砂が堆積してできたもので、これまでは「秘密の島」と呼ばれ、特定の名称はなかった。

パグアサ島はフィリピン西部パラワン島の北西約450キロにあり、領有権争いの最前線に位置する。軍や沿岸警備隊が駐留するほか、カラヤアン町職員や漁師ら100人以上が政府から生活費を支給され「政策移民」として暮らしている。

海軍によると、周辺海域では中国海軍や海警局の艦船数隻、多数の中国漁船が確認されている。フィリピン人漁師に操業をやめて退去するよう警告したことがあり、命名が中国を刺激し妨害行為がエスカレートする恐れもある。

中国は南沙諸島とその海域を管轄する行政区の新設を既に表明。パグアサ島の約25キロ沖にあるスービ(中国名・渚碧)礁では、3千メートル級の滑走路を整備するなど軍事拠点化を進めている。

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