今でも信じ難い話ですが、考えてみると、貧困層の女性たちでなければ、借金してまで、来日はしない。これも日本とフィリピンの経済格差ゆえの出来事なのだろうか。少し調べてみたら、起こり得ないことではないと、悲しくなります。
国家統計局国際労働機関(ILO)の調べによると、フィリピンの平均年収は、約23万ペソとなります。現在の円為替で1万円で約4600 ペソとなります。日本円で529000円程度です。フィリピンの最低賃金は、通常の仕事(農業を除く)では日給220ペソ(約484円)、マニラ首都圏では日給537ペソ(約1,137円)です。国際労働機関の調べによると、現在の平均年収は約23万ペソ(約50万円)!(1ペソ=約2.3円前後)
フィリピンの職業別月収(給与)
年収の高い職種ランキング
1位… 航空関連(パイロットや飛行機のエンジニア)
2位… 証券金融関連(ディーラーやセキュリティなど)
3位… 土木エンジニア
4位… 俳優、女優
5位… ITプログラマー
最低賃金(3万円以下)の仕事
フィリピンの大都会であるマニラ首都圏でも、3万円以下で働いている労働者は多くいます。
- スーパーの品出し
- スーパーで袋を詰めるだけの仕事
- コンビニ店員
- 工場の作業員
- 工事現場の作業員
- 飲食店の店員
- ジプニーやトライシクルの運転手
- メイド(家事・掃除代行)
- 警備員
- ホテルのフロント
- 新卒(大卒)のオフィスワーク
- フードデリバリーの配達員
フィリピンで平均年収が高い都市
- 1位が首都マニラ
- 2位ナガ
- 3位パシグ
- 4位サンボアンガ市
- 5位セブ市
フィリピン妻は中年男を幸せにするか?
990年代から2005年まで日本の国際結婚は増え続けていた。この時代、日本の底辺ではフィリピン女性が年間約8万人も流れ込んできていた。このフィリピン女性が、日本で次々と日本人男性と結婚していった。
日本人男性は、歓楽街でたまたま出会ったフィリピン女性の熱烈な歓迎に驚き、そしてそこに希望を見出した。
これは名古屋で知り合った男性の話です。大手自動車メーカーの真面目な機械工だった、40代に入って彼は初めてフィリピン・パブで自分を羨望してくれる女性に出会い、夢中になっていった。
結婚と幸せは別問題であることは注意する必要がある。外国人と結婚するというのは、ありとあらゆる問題が一度に押し寄せてくる。
食生活の問題、生活習慣の問題、文化の問題、ホームシック、家族親戚の問題、差別の問題、言葉の壁、金銭感覚、経済観念、価値感の違い、子供の問題……。これらすべてに対処しなければならない。
彼は53歳でフィリピン女性と結婚し、61歳まで日本で必死に働いて稼いだ金をフィリピンの妻子に送り続けてきた。彼女は何かと「金が足りない」とねだってきたが、彼は妻子のために文句も言わずに金を渡していた。
フィリピンで夫婦水入らずで暮らせるのを夢に見ながら、彼は彼女に金を送り続けた。そして61歳、退職してフィリピンへ移住。彼が長らく夢見てきたその日々は確かに実現した。
フィリピンの妻の家に定住して、3ヶ月ほど、将来の夢を生き生きとSNSで話してくれた。食堂を開くことや、家をたてることなど。奥さんは日本語の日常会話は話せたが、彼はフィリピン語は挨拶程度で、英語も話せなかった。
半年ほど経ったある日、フィリピン旅行から帰った知り合いから、彼の訃報を聞いた。交通事故だったらしいが、詳しくは話さなかった。後日談だが、信じ難いが、なぜ彼は殺されたのか。
彼が死ねば、その遺族に対して子供が18歳になるまで日本から遺族年金が支払われるからだ。遺族年金は、死亡時に生計維持関係のある配偶者であれば「国籍を問わず」請求することができるというものだった。
フィリピン女性を愛した日本人が迎えた結末は、ひどく苦く残酷なものだった。